どうもこんにちは。寒暖差で自律神経が大不調ぎみHYです。
こんな時は家に籠って体調がよくなるまで横になったりゲームしたりするのが吉と長年の勘でわかるというもの。
今やスマホの普及で老若男女問わず何かしらゲームに触れる機会が増えてきた昨今。国内・海外・老若男女ともはやゲームの大航海時代と言ってもいいでしょう。となると「ゲームってこういう事ありがちだよなぁ~」といったゲーマー間での共通認識、所謂「ゲームあるある」が加速度的に積みあがっていきます。ここではその一端をお見せしましょう。それは…。
「日本刀ってどんなゲームにも出てこない??」
上野の国立博物館で撮ってきた刀です。カッコいい。
弊社で製作したアクリル製の刀です。COOL!!
刀剣乱舞などのゲームで女性の人気も獲得済み!
ファンタジー世界を舞台にしたゲームをプレイしていても結構な確率で「極東の国から伝来した刀剣」といった名目で日本刀が登場してきます。現実世界を舞台にしたゲームでもなぜか出てきますし、SF世界を舞台にしたゲームでもカーボン製の光る日本刀が当たり前のように登場します。日本刀の何がそんなにゲーマーを惹きつけるのか…。
勿論日本刀と言えば現代では美術品としての価値が高く、国内外問わずその美しさに魅せられる人々は少なくありません。力強さとしなやかさを兼ね備えた造り、そして美しい刃紋は数ある武器の中でも日本刀がトップクラスに有名です。
なぜ日本刀が生まれたのでしょうか。答えはその材料にあります。
日本刀は玉鋼(たまはがね)と呼ばれる材料から造られています。玉鋼の有名な製鉄方法は砂鉄を材料とした「たたら製鉄」が挙げられますね。ジブリ映画が大好きな方なら「もののけ姫」にて主人公アシタカが女性たちと一緒に大きな板を踏んで動かしていたシーンは印象深いですよね。あの場所が「たたら場」です。動かしていた大きな板は炉に空気を送り高温で燃焼させるための役割を担っています。砂鉄を鉄に製鉄するための製鉄法として明治維新前の日本では普遍的だったそうです。詳細は省きますがこういった製鉄法を経て玉鋼は作られていました。
玉鋼(イメージ図)
玉鋼はリンや硫黄などの不純物が普通の鉄よりも少なく、炭素量も1~1.5%と刃物に適した含有量となています。現代の大量生産に向けた製鉄法ではたたら製鉄よりも高温で鉄鉱石を燃焼させますがこれでは不純物が混ざってしまい玉鋼が生まれる事もないでしょう。
日本刀の製造風景(イメージ図)
日本刀を造るにあたって「折り返し鍛造」と呼ばれる鍛造法により最終的には炭素量は0.7%ほどまで下がりますが極端な下がり方はしません。鉄という材質は炭素含有量が少ないと靱性を得ますが硬度を失い、多いと硬度を得ますが靱性を失います。日本刀の特徴であるしなやかさと強靭さの両立は絶妙な炭素含有量が成せる技と言ってもいいでしょう。
玉鋼がとにかく日本刀に向いている材質ということはわかりましたが他の材質ではどうなのでしょうか。日本刀に並ぶ、いや日本刀を超える逸材は現れるのか。
例えば弊社でもよく加工されているステンレスは強度があり、錆びにくいことで有名です。
実際ステンレスは軍刀としても採用されているなど実績があります。ステンレス刀は日本刀に比べて格段に錆びにくいので海上など塩害に悩まされ易い場所で使用するには向いていました。
刀を造った実績があるのであればステンレスはやはり玉鋼よりも日本刀に向いているのでは?
ですが日本刀を日本刀たらしめるのは切れ味だけではありません。美術品として取引される程の美しさも構成要素の一つです。
美しさに一役買っているのは刀身に広がっている刃紋です。白く波立っているような紋様から瓢箪のような紋様まで種類は多岐に渡ります。
この美しい多種多様な刃紋は日本刀の焼入れ時に生まれます。
ここでの焼入れは日本刀の強度を増して切れ味を抜群にするために行う作業です。
鍛造した出来た刃に焼刃土と呼ばれる粘土や木炭などを混ぜたものを刀身に纏わせます。刃の部分には薄く、それ以外の箇所には厚く塗ります。この焼刃土を塗らないと刀身の温度を上昇→冷却する際に水に近づけると水蒸気が刀身に纏ってしまい直接水につけることが出来なくなります。そうなると冷却速度が緩やかになり日本刀の特徴であるベストオブ刃物の硬さを生み出すことは出来ません。焼刃土を塗って焼入れを行うと木炭が燃えて空洞になった隙間などに冷却時に水が入ってくるのです。これにより何も塗っていない時に比べて冷却速度が上がるというわけです。昔の人の知恵はすごいですね。薄く塗った刃の箇所は冷却速度が上がり硬くなりマルテンサイトという硬い組織に、厚く塗った箇所はトルースタイトという柔軟な組織に変態します。マルテンサイトに変態する時に生じる膨張が刀身に反りを生み攻撃力が増すわけです。
そしてこのマルテンサイトとトルースタイトが表面上に浮き出てきた紋様こそが刃紋になるというわけですね。同じ刃紋を狙って出せる刀鍛冶は少ないとのこと。オンリーワン武器ですね…。
さて長々と刃紋の成り立ちについて書いてきましたがステンレス刀は日本刀と同じような刃紋は生まれるのでしょうか。
ステンレス刀はマルテンサイト系ステンレスを材料にしています。SUS403などがあたりますね。マルテンサイト系はフェライト系やオーステナイト系に比べると耐食性は低いです。しかし他の材質に比べれば錆びにくく、ステンレスの中では硬度が高い為、玉鋼の代替として白羽の矢が立ったということでしょうか。
そしてステンレスは鉄を主成分としてクロームやニッケルなどを”均一”に含有させています。ステンレスは各工業製品の材料として使われるだけあってどこから加工しても主成分や炭素含有量などは均一であることが求められます。
ステンレスに比べると製鉄後の玉鋼は炭素量が不均一だと言われています。大量生産で均一さが求められる現代の製造業では玉鋼の様な材質は正直使い辛いですね。ただ日本刀の製作に関してはステンレスの様に成分が均一だと焼入れ時に均等に硬化が始まってしまい美しい刃紋は出来づらいのではないかと考えます。あくまで想像ですが。
実際昔のステンレス刀を確認してみると日本刀の様な多種多様な刃紋はほとんど見かけません。ほとんどが刀身に真っすぐ沿った刃紋です。
ただステンレス刀が出来た時代背景を考えるに日本刀のような複雑な手順をもって造られていない可能性は十分に考えられます。上記で述べたような焼刃土をつけた焼入れなどを行っていれば日本刀に及ばずとも特徴ある刃紋は作れたかもしれません。
玉鋼もステンレスも共に日本の製造業の歴史には欠かせない名役者。日本刀に向いていようがいまいがその重要性は変わりません。各材料が特性を持ったオンリーワンということですね!
他にも日本刀に向いている材質を金属・樹脂問わず考えていこうと思っていましたが、かなりの文章量になりそうなので一旦ここまでにしておこうと思います!
さて今回は玉鋼・ステンレス、つまり金属について記事を書いてみました。
なんと日新産業では金属・樹脂、どちらでも加工を承っております!
板金加工や樹脂加工、機械加工を可能にする様々な機械が揃いぶみですのでこんな試作品どうやって作ればいいのかわからない…といったお悩みがあれば是非お問い合わせください!
以上HYでした~。
それではまた~。
参考URL
https://story.nakagawa-masashichi.jp/39138
https://wa-gokoro.jp/traditional-crafts/japanese-sword/42/
https://isao-machii.org/tag/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%AC%E3%82%B9%E5%88%80/
https://www.meihaku.jp/sword-basic/yakiire-science/
https://www.touken-world.jp/tips/19308/
https://web.quizknock.com/waht-is-tatara